・日本選手権の決勝戦のミスジャッジについて

某日記でミスジャッジがあり決勝の勝敗がひっくり返ったという一文を見て衝撃。すぐさまタカラのサイトに飛んで事実確認。いきなり決勝へと行かずに準々決勝から順番に閲覧していく。トッププレーヤーたちの戦いに目を通しながら次第に胸が熱くなっていくのが自分でわかった。それと同時に真実を知る恐怖感も強く感じた。

「いったい何が起こったのか?決勝の舞台で。」

決勝のカバレッジ。ゲームは進み、4本目で勝負は決したかに見えた。見えた、しかし、現実は違った。4本目現状からの再戦。そして結果の逆転。

「《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice(DST)》装備状態での《凍らし/Frostling(BOK)》自身を対象としたサクリファイス」

不可能である。

対象の指定→コストの支払いという順番を踏まなければ能力は使用できない。対象となるべきクリーチャーはそのとき《凍らし/Frostling(BOK)》以外いなかった。しかし自身には《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice(DST)》の影響でプロテクション(赤)が付与されていたため対象に指定することが出来ない。すなわちコストも払うことが出来ない・・・。

そして相手の《精神隷属器/Mindslaver(MRD)》が解決され対戦相手の手によって《凍らし/Frostling(BOK)》サクリファイスにより《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus(DST)》が屠られた。

プレイミスの類(ルール的に不可能なパターン)は静止されるべきだし、今回はテレビマッチということで原状回復が可能ということか今回の裁定が下された。

ここで一つ問題提起をしたい。

「今回の事例は判例と成り得るか?」

である。一般的に巻き戻しはされないから今回は非常に稀有なケースといってよい。しかし、このような巻き戻しが認められるならば一般的な草の根大会でのルール誤解によるプレイミスも現状復帰が可能ならば巻き戻しが認められても不思議ではないはずだ。むしろプレーヤー側がそれを請求したとしてもなんら不思議は無い。その際ジャッジはどのような理屈を持って対処していくのだろうか。非常に興味深い。

実例)某大会で実際に起こった話

某大会のスイスラウンド3回戦、私は当然のように白ウィニーをプレイしていた。対戦相手は青赤抹消を操るTである。場には《機械の行進/March of the Machines(MRD)》と《栄光の頌歌/Glorious Anthem(9ED)》、クリーチャー数体がおりTは《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot(DST)》を既にコントロールしていた。私は《卑下/Condescend(5DN)》を警戒し《金属モックス/Chrome Mox(MRD)》をプレイした後《機械の行進/March of the Machines(MRD)》に対して《天羅至の掌握/Terashi’s Grasp(BOK)》をプレイした。Tは《マナ漏出/Mana Leak(9ED)》をプレイ、呪文は打ち消され墓地に置かれた。その後私は手札にあった《陽光尾の鷹/Suntail Hawk(9ED)》をモックスのマナでプレイし、それはカウンターされずに場に出ることとなった。私がターン終了を宣言するとTは《知識の渇望/Thirst for Knowledge(MRD)》をプレイした。そしてその解決中にTは気づいた。

T「そのモックス酔ってんじゃないの?」
白「・・・あ、そうだ。無理じゃん。」

確かにそうなのである。《機械の行進/March of the Machines(MRD)》下でのアーティファクトは召喚酔い(俗語だが便利なので使用する)の影響を受ける。よってマナは出せない。ここで私たちはジャッジを呼んだ。

そこでのジャッジの裁定は以下の通り。

「プレイが進行しているため巻き戻しは認められないので、そのまま続行してください。あと、モックスは壊れてください、0マナだから0/0で・・(ここで《栄光の頌歌/Glorious Anthem(9ED)》を発見)あ、いや、なんでもないです。」

この場合一方的に私が得をし、Tは不利益をこうむった。本来なら出せるはずの無いマナでクリーチャーを展開されたのである。この際にTがプレイの現状回復が容易であることを理由に巻き戻しを要求しても不思議ではない。このことをジャッジに告げた場合、この請求は認められるのだろうか。

私に何らかの警告を出され、プレイの巻き戻しが認められたとしてもまったく私は不満に思わない。なぜならイリーガルなプレイをしたのは私自身であるのに、対戦相手であるTが圧倒的に不利な立場におかれてしまうのは明らかにおかしいからだ。今回は1/1飛行だったがそれが《神の怒り/Wrath of God(8ED)》であったり《死の雲/Death Cloud(DST)》だったりした場合の損益は計り知れないものがある。ライブラリーシャッフル系の呪文だった場合は回復困難であるからゲームロス程度の裁定は覚悟する。ジャッジはトーナメントレベルを鑑みながら裁定を下すから一プレーヤーの思いはいい意味でも悪い意味でも伝わらないかもしれない。しかし、今回の決勝での一件は大いなる教訓であることは間違いない。決勝だから覆り、草の根だから続行というのはゲームとしてフェアだとは言えない。サッカーで言えばJ2の試合のオフサイド判定は覆らないがワールドカップ決勝のオフサイド判定は覆る可能性があるということなのだから(サイドとメインのスリーブの磨耗が原因で試合中にスリーブの交換が求められた話もあったと聞いている)。

このようにジャッジ、というか法に一貫性が無いスポーツはプレーヤーに対してフェアではない。一人のプレーヤーとしては無力であるが、そのような人たちに支えられてマジックは成り立っている。ジャッジ立会いの下でのミスということを重く見て、何らかの厳罰が当該ジャッジに下されるべきであると私は思う。でなければジャッジの尊厳は保たれないだろう。

なお今回の再試合裁定についてはなんら異論は無いことを追記する。

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